
MPEG Exporter TNGの設定プロファイルをアップデートしました。
・iPod H.264へのアナモフィックなアスペクト比の処理の導入
先日のr.88.8の記事の中で,「740x416のファイルも問題なくiPod上で再生できていた」は誤りで,実は720x416のファイルがアスペクト比の埋め込みにより引き延ばされて再生されていたのでした。ffmpeg+x264のエンコードは,そもそもアナモフィックな処理がデフォルトのようです。そればらば,これを逆に利用しない手はありません。
設定ダイアログを簡素化するため,アスペクト比の調整をするとしないに大きく処理を分け,アスペクト比の調整においては基本的にリサイズを行なわずにアスペクト比の埋め込みのみで対応することにしました。これならまったく画質を損なわずにすみます。画面サイズを調整する場合,デフォルトでiPodの規格の上限であり,SDサイズである720x480にリサイズしてアスペクト比を埋め込みます。
これにより,常にiPodの規格の上限を守りながら,リサイズを最小限にして,最終的に最高画質のエンコードが可能となります。
・QuickTimeロスレスに圧縮方式を追加
これまで,ffmpegの-sameqという,「元データと同じ品質で出力する」という怪しげなオプションでMPEG-4を出力していました。大変小さなファイルが出力できて処理も軽かったのですが,本当に品質の劣化がないのか保証がされていませんでした。
今回,H.264ロスレスモードとYUVモードを追加し,きちんと可逆圧縮を行なえるようにしました。特にH.264のロスレスは予想よりも処理も軽く,出来上がりのファイルも小さいのでおすすめです。YUVをQuickTimeでRLE圧縮にする方法も併用できるか試しましたが,むしろデータが大きくなったので採用しませんでした。いずれの形式もQuickTime Playerで開くことができます。
なお,当方で配布中のQT MPEG4 Exporterは,QuickTimeを使ったRLE可逆圧縮による出力をサポートしています。MPEG Exporter TNGを併用すると,ffmpeg系とQuickTime系で完全なロスレスによるデータ変換が可能となるので,どちらかしかサポートしないアプリケーションなどの支援に最適です。
・Apple Losslessのサポート
ffmpegがサポートするすべての動画または音声のファイルからApple Losslessフォーマットの音声データをエンコードできます。
・ニコニコ動画の設定の微調整
仕様の変更に伴う修正,-partitionsの追加による画質の改善,エコノミーモード回避や25分までの長時間でもスクリーンサイズが縮小されないようにパラメータのしきい値の調整。
なお,Apple TV向けの設定には-partitionsを指定していませんが,品質固定でエンコードしているために圧縮率にしか影響しない上,エンコード速度が落ちるため不要と判断しています。
アップデートはアプリケーションに内蔵されたネットワークインストーラを通じて通知されます。
アプリケーション本体の起動時または変換フォーマットの指定時に1週間おきにアップデータの有無を確認する仕様になっています。